イングランド銀行、システミックな英ポンド建てステーブルコインに関する最終制度案を公表
キーポイント
- 01イングランド銀行は、財務省がシステミックと認定する英ポンド建てステーブルコイン向けのポリシー・ステートメントおよび実務規程草案を公表しました。FCAは非システミックなステーブルコインを監督し、システミック制度への事業者移行にも関与します。
- 02本制度は、英国の決済における信頼性の高いデジタルマネーの利用を可能にしつつ、金融安定、決済システムのレジリエンスおよび銀行融資の供給を守ることを目的としています。
- 03システミックな発行者は、準備資産の最大70%を短期の英国国債で保有でき、残る30%は迅速な償還を支えるためイングランド銀行預金として保有する必要があります。
- 04各システミック・ステーブルコインには、利用者ごとの保有制限に代えて、暫定的に400億ポンドの発行上限が課されます。この上限は見直しの対象となり、信用供給リスクが解消されれば撤廃される可能性があります。
- 05実務規程草案に関する協議は2026年9月22日に締め切られます。最終規則は2026年末までに策定され、規制対象ステーブルコインの運用開始は2027年を目標としています。
イングランド銀行は、協議段階の提案を踏まえ、英ポンド建てのシステミック・ステーブルコイン(規模や利用状況が英国の金融安定に影響を及ぼし得るコイン)に関するポリシー・ステートメントおよび実務規程(Code of Practice)の草案を公表しました。この枠組みは、金融システムの安定性と決済サービスのレジリエンス(障害等が生じてもサービスを維持・回復する能力)を守りつつ、ステーブルコインを決済に利用できる信頼性の高いデジタルマネーとして活用することを目的としています。
この制度は、財務省(HM Treasury)がステーブルコインの仕組みをシステミックであると認定した後に適用されます。イングランド銀行は、システミック・リスク、準備資産および決済システムのレジリエンスに関する監督を担います。一方、金融行動監視機構(FCA)は、主として暗号資産取引に用いられるものを含む、システミックではないステーブルコインを監督します。両規制当局は、FCAの制度の対象であった事業者が成長し、イングランド銀行のシステミック制度へ移行する際の管理された移行プロセスも整備しています。
イングランド銀行は、2009年銀行法に基づき、情報提出を求め、原則および規程を定め、運営規則を要求し、法的拘束力のある指示を発出するとともに、システミック・ステーブルコインの発行者および関連する認定済みの仕組みに対して要件を執行する権限を維持します。認定された仕組みに含まれる事業者は、決済システム、または状況に応じてサービス提供者として扱われる場合があります。
従前の協議案からの主要な変更点は、準備資産に関する取扱いです。システミックな発行者は、裏付け資産の最大70%を短期の英国国債で保有できるようになります。従来案の上限は60%でした。残りの30%はイングランド銀行への預金として保有しなければなりません。中央銀行預金の保有義務は、発行者が償還請求に迅速に応じられるようにするためのものです。従来提案されていた投資先の集中制限は、新たな実務規程草案の概要には盛り込まれていません。
また、イングランド銀行は、個人世帯および企業による保有額への暫定的な上限案を、発行額に対する暫定的なガードレールに置き換えました。各システミック・ステーブルコインの発行残高は、当初400億ポンドを上限とします。他方、利用者は個人ごとの保有上限なしにステーブルコインを保有・利用できます。イングランド銀行によれば、このガードレールは、経済全体における銀行融資へのアクセスを保護するために設けられるものです。関連する信用供給上のリスクに対応でき次第、撤廃することが予定されており、定期的に見直されます。
イングランド銀行は、システミック・ステーブルコインのカストディアン(資産の保管・管理を行う事業者)を直接規制する方針ではありません。その代わり、同行の監督下にある事業者は、カストディアル・ウォレット提供者が決済システムの完全性、業務上のレジリエンス、または取引完了能力を損なわないことを示す必要があります。
実務規程草案に対する意見提出期限は2026年9月22日です。イングランド銀行は、FCAとの追加的な作業と併せて、2026年末までに同規程を最終化する意向です。さらに、規制対象となるステーブルコインが2027年に英国で事業を開始できるようにすることを目指しています。発行候補者、決済システム運営者、準備資産運用者およびウォレット提供者は、自らが財務省に認定されるシステミックな仕組みの一部となり得るか、また準備資産、ガバナンス、償還および業務上のレジリエンスに関する体制が提案基準を満たせるかを検討すべきです。